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札幌高等裁判所函館支部 昭和24年(を)129号 判決 1949年11月16日

被告人

桑垣功

外一名

主文

原判決を破棄する。

被告人桑垣功、同手代木保を各懲役六月に処する。

原審に於ける未決勾留日数中各十五日を右各本刑に算入する。

ただし被告人両名に対しこの裁判確定の日からそれぞれ三年間右刑の執行を猶予する。

理由

次に職権を以て調べると、原判決は刑事訴訟法第三百四十七條第一項を適用した上、精白双砂糖八貫(檢第四号)精白双砂糖袋一枚(檢第五号)を被害者に還付する旨宣告している。然し賍物につき被害者還付の言渡をなすためには、賍品が裁判所に押收されておらねばならない。而して裁判所に押收されているというためには、裁判所が法廷で取り調べをなした後、搜査官において押收しているものはそれを裁判所に提出することにより、押收していないものについては裁判所がそれを押收することにより、裁判所の保管に移されなければならない。然るに本件では原審は第一回公判期日に檢察官の請求により、精白双砂糖八貫匁入林檎函(檢第四号)精白双砂糖袋(同第五号)について証拠調べをなした後、直ちに檢察官に返還しているのであるから、之を押收したということはできない。従つて之については、被害者還付の言渡をなすべきではないのに拘らず、之をなした原判決には法令の適用に誤があつてその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点に於ても破棄を免れない。

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